道東は北海道東部の十勝、釧路、根室、オホーツクを含む広大な地域で、日本の中では圧倒的な自然「ウィルダネス」が広がる場所です。同時に、この国の食を支える広大な農地と豊かな漁場があり、それを生業とする人々の暮らしが営まれています。
道東アドベンチャーネットワークは、私たちが関わるツアーに参加するゲストの皆様に対し、以下に掲げるLeave No Traceに沿った7原則を守っていただきながら、ウィルダネス環境下での活動を楽しんで欲しいと考えています。
雄大な自然とそこに生きる命に敬意を払い、ルールを守り安全な行動を心がけましょう。自然を敬い環境への配慮を大切にすることは、この素晴らしい景色と旅を未来へ繋いでいくことに貢献します。
道東 Leave No Trace ① 道東の自然について知ろう
・道東のきびしい自然環境に備えよう
・道東の野生動物について知ろう
・自然公園のルールを理解しよう
・新しい土地に行ったり、活動を行うときはガイドを依頼しよう
・できる限り長く滞在しよう
出発前に十分な準備をすることは、旅を安全で豊かにするために重要です。その地域の特性やルールを知ることで、その暮らしを尊重し貢献する方法を知ることができます。道東は季節や天候によって気温に差が生じやすい地域です。現地の気象情報を確認し十分な装備を準備しましょう。専門のガイドを依頼すれば道東の自然について詳しく知ることができ、長く滞在すれば広い道東の多様な楽しみ方に出会うことができます。
道東 Leave No Trace ② 指定地で活動しよう
・トレイルから外れないようにしよう
・指定されているキャンプサイトを使おう
・指定地以外で活動するときは頑丈な地面を選ぼう
・汚れても良いフットウェアを身につけよう
・他のビジターの踏み跡には入らないようにしよう
道東でハイキングやキャンプなどの活動をするためには、フィールドの状況に応じた適切な行動が求められます。指定地、岩、砂、雪、乾いた草など頑丈な土地の上で活動しましょう。よく使われている指定のトレイルやテントサイトを利用するときは、キャンプサイトは植生が少ない場所にできる限り小さく設営しましょう。人が入っていないところではキャンプサイトや歩行を分散させ、自然に対してインパクトをかける場所は避けましょう。よいキャンプサイトは水辺から60 m以上離れたところに、作るのではなく見つけましょう。
道東 Leave No Trace ③ ゴミを適切に処理しよう
・持ち込んだゴミは全て持ち帰ろう
・休憩場所を離れる時にゴミを確認しよう
・できる限り常設のトイレを使おう
・自然の中でトイレをするときは水場から60m離れ20cm穴を掘って行おう
・自然公園の中でトイレをするときは、その公園のシステムに従おう
人の痕跡を残さないように、食べ残しや包装ゴミを自然に放置せず、必ず持ち帰ることで、美しい自然や野生動物への悪影響を最小限に留めることができます。ペットボトルは極力使用せず、ウォーターボトルを使用しましょう。計画と準備を入念に行うことで、ゴミを減らすことができます。使用済みのトイレットペーパーは食べ物のゴミなどと同様、必ず持ち帰りましょう。
道東 Leave No Trace ④ 見たものはそのままに
・道東の自然を持ち帰らずにあなたの表現で友人に伝えよう
・外来生物を運んだり、持ち込んだりするのを避けよう
・全ての自然物に神様が宿るアイヌの文化を敬おう
・道東の素晴らしい自然を次のビジターにも残そう
道東では自然・野生動物たちと、人の暮らしの共生に取り組んでいます。北海道の先住民族アイヌの自然観である「どんなものにもカムイ(神様)が宿る」という考え方が現代でも大切にされていることをイメージしましょう。草木や花、鉱石の一つひとつが道東の自然であり、持ち帰ることなく、写真や絵、文章など、あなたの表現で友人へ伝えましょう。自然へ入るとき、帰るときは、外来種を知らずに持ち込まないように靴の土を落し、道東の美しくも厳しい自然環境を次のビジターに残すように意識しましょう。
道東 Leave No Trace ⑤ 指定地で焚き火を楽しもう
・調理はストーブを使おう
・キャンプ場の指定の場所と方法で焚き火をしよう
・自然の枝を使うときは、落ちている枝のみを使おう
・白樺の皮を火口に使わないようにしよう
アイヌ文化において火は神聖な存在で、火の神「アペフチカムイ」と呼ばれ、アイヌの人々が神々とのつながりを持つための媒介者とされています。家族や村の守護者でもあるので、くれぐれも火を粗末に扱わないようにしましょう。たき火は、周囲の植物や動物に与える影響が大きいため、湿地や森林など植生が豊富な場所では極力避け、持ち運び可能なストーブを使いましょう。季節によって強風が吹くことがあり、火の粉が飛び散るリスクが大きくなります。風の強い日には火を起こさない、または風向きに注意し、防風用の囲いを使いましょう。常に水を用意しておき、万が一に備えましょう。
道東 Leave No Trace ⑥ 道東の野生動物を尊重しよう
・野生動物とは距離を置いて観察しよう
・動物が寄ってきても餌を与えないようにしよう
・食べ物を野生動物に取られないように管理しよう
・全ての食べ物、食べかすを持ち帰ろう
・ヒグマに遭遇したらその場を静かに離れよう
道東には、ヒグマやエゾシカなど、多様な野生動物が生息しています。私たちは彼らの生活環境にお邪魔している訪問者であることを忘れず、動物に近づきすぎず、距離を保って観察しましょう。ヒグマの生息域では、見通しの悪い場所で音を出して自分の存在を知らせましょう。適切な距離を守ることや、食べ物・ゴミを管理することは、野生動物と私たち自身、そして地域住民の安全を守るためにも重要です。なるべく単独行動は避け、必ず複数人で行動するようにしましょう。
道東 Leave No Trace ⑦ 他のビジターと道東の魅力を共有しよう
・色々な目的で道東を訪れている人がいることを理解しよう
・他のビジターとできる限り距離をとり、それぞれの体験の質を維持しよう
・ピークシーズン、特定の人気のある観光地をできる限り避けよう
・地域住民の生活や土地を尊重しましょう
・雪が積もっていても畑に入らないようにしよう
道東は4つの国立公園があるエリアで、そこには地域住民の暮らしもあります。地域の暮らしや土地を尊重し、立ち入る場所については注意を払いましょう。登山やトレッキング、バードウォッチングやフィッシングなど、道東を訪れる他のビジターの体験の質を保つことをイメージしましょう。過度の騒音や人混みは、アウトドア体験の質を下げます。道東ならではの自然と静寂を楽しむなら、なるべく休日や週末の旅行を避け、オフシーズンがおすすめです。